086号

サポート通信 086号2018年8月1日発行

ペット飼育可物件の原状回復

ペットを飼育していた入居者が部屋を移転するにあたって部屋を確認した所、部屋中が、引っ掻き傷や糞尿の未処理等により床の腐食が発生。入居者曰く、ペット可の条件で借りた部屋だから、これは通常の使用に伴う損耗と主張されてしまった。貸主側はこれらを入居者に請求ができるのか?!「ペット飼育可」という条件だけで貸主にとって不利となるのか?!法律的な見解はどのようになるかを解説します。

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◎弁護士からの回答

A :ペット飼育を可とする条件であっても、ペットをどのように飼育してもよいという訳ではなく、使用規約等で決まっている場合はそれに従うのが当然です。また、具体的な規則がない場合でも、借主の善管注意義務の内容として飼育方法には一定のルールがあります。飼育が可能であるからこそ、日常的な部屋の清掃等には特段の配慮が求められると考えることもできます。

 

◎原状回復ガイドラインでは、

①建物価値の減少にあたる損耗等を、経年劣化(自然損耗)⇒貸主負担
②通常の使用に伴う損耗(通常損耗)⇒貸主負担
③借主の故意・過失・善管注意義務違反による損耗 ⇒借主負担
※通常損耗における「通常の使用」は「特定の物件における具体的な賃貸条件のもと」で「一般の人が普通に使用する態様」という客観的なものが想定されています。

◎結論

ペットを飼育する一般の人が普通に使用する態様を基準に、通常の使用であるか否かが判断されます。
そうすると、通常のペット飼育ルールに反し、かつ借主として求められる配慮も怠っていることによるキズや汚れは、「通常の使用を超える使用」または「善管注意義務違反」よる損耗であると評価されるので、原状回復ガイドラインのもとでも借主の原状回復の対象とされ、借主がこれを拒否することはできません。

誤解のない契約締結はその前提としてありますので、当社でもペット規約等により理解が深まるよう万全にしていきたいと思います。