183号-2012.10.25

[ 2013.1.19. ]

183号-2012.10.25

 

4月に港北高田店をセンター北に移転し、名称も「センター北店」とした。

東横線綱島店は東横線綱島駅の乗客数が一日4.7万人(平成21年度実績、平成4年のピーク時より0.8万人減少、因みに日吉駅は4.8万人、菊名駅が1.5万人増加している)あり、データ上のマーケットと周辺に当社の顧客が多いという点から開設した経緯がある。本来なら東横線綱島店は現在の倍数の店舗坪数が必要だったが、駅前立地で該当する物件がなく窮余の策として、バックヤードとしての事務所を近隣に作ることで機能的問題を解決した。それが「港北高田店」になっていた。また普通なら宅建業法上の店舗としては必要なかったが、土地有効活用提案や売買仲介が増えることにより担当する社員も増加した為に、開設免許を取得した。当初10名でスタートしたが、やがて19人まで膨れ上がり事務所も手狭になっていた。業務も東横綱島店では募集~案内~新規契約のみとし、更新等は港北高田店で一括処理することにしていた。それにオーナー様の土地有効活用ができる不動産鑑定事務所を併設し、専従社員も3名置き、横浜地区の借地問題や遊休地有効活用提案もできる体制を整えていた。そうこうしている内に、貸主であるビル所有者の自宅を売却するという話が舞い込んできた。「寝耳に水」の話だったが、業界ではよくあるケースの一つに過ぎない。

通常この手の事態は、債務過剰で返済計画が破綻したケースなのだが、地元で古くからの地主でもあり、相続も発生して間もない時期から、納税資金上売却するものがないからと解釈していた。しばらくすると水面下で当社が借りているビルの売却の話も出てきた。貸主に質すと、従来から取引のある信金では追加融資に応じられないという事になり、資産を売却して返済に充てるよう指示されたらしい。金融機関から紹介された不動産業者の査定価格で売却も依頼したという事が判明した。景気回復の目途も立たない為、ここで一挙に清算したいとの考えのうえ売却に至っていた。価格的にも問題があると思ったが既に専任媒介契約を結んでいた為、これ以上介入せず事態の推移を見ていた。

専任媒介契約期間が切れた頃、貸主から当社に善後策の相談があった。早速当社で対策チームを作り調査したが、現状の売却価格では貸主の債務は完済せず、将来にわたり債務を負うことになった。それでは貸主の利益にはならないので、当社が希望価格で土地を買い受ける案も浮上してきた。時間的猶予はないので取り敢えず当社で「賃貸ビルの買い付け申込書」を提出し他業者の動きをけん制した。この価格で売却できれば全財産を処分するが、幾らかの手元資金が残る計算になる。ところが先行していた不動産業者がビルの隣地の土地売却をしやすくするために区画をビル用地に一部食い込むような形で分筆してしまった。

その結果、ビル用地は建ぺい率違反となり、既存不適格建物として資産価値はなくなってしまう。さらにこのビル自体が違反増築をしており、耐震上も問題があることが分かった。

つまり、このままでは使用できず減築するか解体するしか方法がなくなってしまった。

「塞翁が馬」の例えどおり、先に当社が提出した買い付け価格が元になり、その価格で買い取り希望者が現れた。勿論価格上の交渉はあったが、何とか初期の予定通りの結果で終わる事ができた。当社も繁忙期に重なっていた為退去猶予期間を6ヶ月もらい、当社のお取引の貸主の好意で「センター北」に移転することができた。
港北高田店からの業務上における距離のハンデはなく、社員の通勤問題だけとなったが無事全員が移動した。先の貸主は既存債務を完済し、事なきを得たようである。結果論から言えば「事業拡大期の設備投資に金融機関の追い貸し」が、景気低迷期に企業の足を引っ張ることになった訳である。中にはうまく景気の波に乗り業績を拡大し、低迷期には融資返済ができるだけの内部留保を作り乗り切った企業もあるが、大多数の企業はその折り返し点のバスに乗り遅れ、結果的にババをつかむ結果になった。最近は少なくなったが、これと同じように一部金融機関の個人資産家に対する「追い貸し」が問題になったことがある。相続対策として担保価値目一杯の融資を組んだ例である。当然賃料も高めに設定して返済計画を組んでいるため賃料が下がればたちまち返済困難になる。そこで融資の稟議を通すために管理会社に30年の保証をつけさせたりする。その多くは建築系の管理会社なので親会社の受注支援のためには条件を飲まざるを得ない。管理会社も企業存続上、5年間だけ賃料を固定するとか、10年毎に指定する設備更新や賃貸条件の見直しを条件にいれるなどして、リスクヘッジをかけて気休めに過ぎない対応をしていた。神奈川県でも平均空室率は統計上15%になるので、返済原資の賃料収入を80~85%に設定し、賃料も10年間で15%減額する返済計画を組めばいいはずだが、これでは建築会社からは「夢も希望もない」提案しかできない為、受注に結びつかない。要するに本来の食材の味を隠すために色々なスパイスを塗していることになる。バブル前までは住宅投資は裾野の広い産業でGDPの1%を押し上げるといわれていた。国策上景気刺激の妙薬として大きな意味があったが、少子化社会を迎え空室率の増加とあいまって負の遺産が増加している。建築会社も新築戸数80万戸時代を迎え、廃業、吸収合併の流れに入った為、

一部の建築会社は新築受注をあきらめ、既存物件のリフォーム受注にシフトしている。
残債が残っている以上、完済まで的確なフォローをすることが賃貸管理会社の責務である。
今後益々空室数は増加する。テナントの一括借上げも10年先は万全ではない。業績悪化や組織再構築で中途解約もありうる。最終的に残る物件は誰でも入りたくなるような、デザイン性に優れ、立地もよく、賃料が手ごろな物件だ。この当たり前の前提条件を忘れかねない。

しかしこの条件に合致する物件は全世帯の5割もないだろう。現在の空室物件は貸主側の思惑とは別に入居者から見て、わざわざ移転入居する魅力に乏しいという事になる。世帯数が物件数を上回って久しい。余剰物件が沢山あり、入居者の取り合いは激化する。この状況変化の中で当社も組織替えを余儀なくされた。その対策の①は仲介営業力の強化だ、②は現在の入居者の不満を解消し長く居てもらう、③は入りたくなるような物件に再生する、になる。これに対応する組織としてセンター北店に企画営業課とサブリース課を新設した。当社が管理を委託されている物件や借り上げしている物件を通常の店舗から切り離し、通常に店舗と適度の緊張感を持たせ独自の営業を展開するようにした。当社の仲介部門に全てを任せるのではなく他社の仲介力を借り、早期に満室を図ることが目的となる。彼らの指針は入居率と滞納回収率、入居稼働率だけになる。川崎地区は名称が違うが顧客サポート課がそれを担当することになる。だが、それだけでは限界がある、③に対応するためにリノ・リース専門部署を新設した。当面川崎地区がメインになるが、今期中に横浜地区にも広げる予定である。

センター北店は広さの関係から現在社員数は19名だが、これ以上収容できず、上記の部署が本格稼動する時期には増床も視野に入れなくてはならない。勿論貸主のオーナー様にも打診中である。
                                     社長 三戸部啓之