196号-2013.11.25

[ 2013.11.26. ]

196号-2013.11.25

アベノミクスといわれる景気浮揚策で日本国中が浮足立っている。
しかし、国内外ともその政策に懸念を提起している人たちもいる。
自動車関連等一部の企業が好決算を迎えているが、一方業績が低迷している企業もある。

 我々中小企業にはまだ燭光は見えない。一部不動産業界でもミニバブルの再来を期待している。都内の一部地域では不動産リートによる地価の上昇も見られているので、その波及効果やお零れを待っているわけだ。 売り上げ利益の低迷している企業が多い。原因はどこでも共通している。売上げの好調な企業は夫々原因が違うが、低迷している企業は2つの原因に集約される。

社員(組織)の問題と、社長を含めたリーダーの問題だ。ともに常在戦場という意識がない。
会社は仕事をしに来るところだ。仕事とは成果を上げる事だが、これがあいまいになっている。だから計画未達成でも、ノホホンとしている。 決められた勤務時間を継続していればいいのではない。

その時間でどれだけの成果を上げたかが問われている。その報酬に値する成果を上げたかが問われている。研修社員、新卒社員もいる、事務系社員もいる。研修社員、新卒社員は存在自体がコストでしかない。だから一刻も早く売り上げに貢献しなくてはならない。寸暇を惜しんで学ばなくてはいけない、事務系社員も営業支援しなくてはいけない。営業支援とは営業の足を引っ張る書類や計算のミスをなくする事だ。更に顧客紹介や電話や訪問客への心遣い、好印象を勝ち取る仕草や応対も立派な営業支援になる。与えられた業務から見れば余分な仕事に見える事もある。

会社という組織は仲良しクラブではない。それぞれの持ち場で最大限のパーフォーマンスを上げる責務がある。目標を設定しその結果を検証する。問題があれば過去の工程を振り返り、問題点を抽出し改善しなくてはならない。業務とはその繰り返しだ。しかし、社員は体調、気分、雰囲気で業務の質が変化する。一定のパーフォーマンスを維持する事が難しい。だから息抜き、気分転換も時には必要になる。最たるものが、不在社員、得意先の悪口、会社への不満だ。

他人の悪口、会社の悪口は自分に火の粉が降りかからないので「蜜の味」という。だから話の輪に入る賛同者もいる。それが問題なのは「自分の低能さ」や「折衝力のなさ」を棚に上げ「被害者意識が強く」「他人や他部署の事は一切関心がない」からだ。考えれば最低の社員だが、上司は上司で一緒に口裏を合わせているケースもあれば、その組織は崩壊しているといっても過言ではない。不満に同調する事が仲間外れにならないからだ。これはチームリーダーとしては完全に失格だ。こういうリーダーは即降格させなくてはならない。
降格・降給は組織を引き締める最大のチャンスだ。

                       
勿論自分から言い出すほど自覚はしていないので、こちらから降格・降給させる必要がある。何故なら、組織のベクトルを合わせ、成果を上げさせる公的使命を忘れているからだ。
不満は「ガス抜き」ではない。その社員そのものの性格だとも言える。

そういう社員はいつまで経っても自分からは何もしない。他人がやっていることを批判するだけだ。もっと悪いのは、失敗したり、成果がないと自分の追及を避け、上手くいけば行ったで自分の成果を強調する社員だ。漁夫の利ばかり狙っている社員で、意外と鼻だけが利く。「ゆでガエル現象」とも言われるが、問題なのは組織全体がその状況になると、気がつく社員がいない事だ。

だから不満だけを言う社員は組織から排除しなくてはならない。勿論その原因は確認する必要があるが・・。会社や組織の為に日夜奮闘している人は決して不満を言わない。

勘違いしては困るが、日夜奮闘しているという事は、寝る間を惜しんで作業をしている人ではない。何時も「こうしよう」「ああしたら」と考え、実行している人だ。組織には不満はつきものだ。それは哺乳類の自己防衛本能ともいえる。不満を基に何をしたかがポイントだ。

「ゆでガエル的な仲良しクラブ」の例は身近にたくさんある。
「競争意識がなくなってきた」「ミスは自分から絶対に手を上げないし、しても自分の責任とは考えない」「自分に無関係なことは何時も傍観者でいる」等々だ。
原因は組織に一番必要な緊張感がなくなっている点だ。「会社の為に」「顧客の為に」がなくなっている。会社や顧客に一円でも自分のミスで損害をかけても、何も感じない社員は自分のお金だと思っていない。そういう社員ほど自分のお金には一円でも異常なほどこだわる。

会社は「数字のみが人格者のしるし」で、利益を上げた事がその社員の存在価値になる。
数字を作れない社員は「性格はよくても、真面目でも、協調性があっても、知識があっても」会社にとっては退職勧奨予備軍だ。最近はこの辺の当たり前の事が言えなくなっている。

オブラートに包んで「会社を卒業」などと言い換えている。「使えない社員」とは言えなくなった。勿論それは、その会社の仕事では向いていないという事で、人格を否定しているわけではない。
業務は競争があるから自分の欠点が分かり改善ができ伸びる。
勿論その毎月の数字ノルマや労働生産性の追求に耐えられない社員も出てくる。

この社員の退職は絶対止めるべきではない。この社員は当社だけでなく営業・サービス会社に向かないからだ。大事な人生を無断にしている。これを誤解する社員が多く居る組織は崩壊の危機にさらされる。どんな大手名門企業でも倒産原因は営業利益の減少だ。日航の例もある。

何の役にも立たない社員のプライド意識が強く、労働組合が強く、不要な社員が多く、売上げ意識がない社員ばかりいる事が倒産の原因といわれる。日航に入れるほど優秀な社員がいない当社でも、そんな意識を持つ社員が増えてきたことが問題なのだ。「知恵:頭」もないのに「汗:行動」をかかなければ、どうなるかは自明だ。一般に、「自分の事しかやらない、自分の仕事しか関心のない」社員を「タコツボ社員」というが、更に悪質な「プレーリードッグ社員」が多く見かけられる様になった。この社員は私の造語だが、プレーリードッグは可愛いが、危険な状況になるとサッと自分の巣穴に隠れてしまう。危険がさると巣穴から出てきて周囲を見渡している。

これを社員に置き換えると、一見良いのだが、組織にとっては排除したい社員の筆頭だ。こういう上司や先輩のいるチームは後輩にとって最悪になる。
逃げる事ばかりがうまく、顧客や取引先には信用されない。「言い訳を聞いて」も虚しいだけだ。何も前進していないし、状況の変化がないからだ。さらに「学ぶ」という大事な経験も放棄している。我々は実務家である、理論の整合性ではなく結果を出さなくてはならないのだ。

実社会での評価は優良可ではなく、合格か不合格しかない。不合格で「その言い訳」を聞いても意味がない。ダメの烙印を外すには、旧来以上の努力が必要になる。努力をしても原点に戻っただけだ。それに信用毀損行為が加われば、その代償は想像を絶する時間と行動が必要になる。だから最善の計画と行動が求められる訳だ。「これでいいのか?」と常に自問し、自己研鑽に励むことが求められる。 
 
                                         (社長 三戸部 啓之)