213号-2015.4.25

[ 2015.4.25. ]

213号-2015.4.25

 

責任が人を育て、立場が人を作る!とは何処でも何時でも言われている。人事の季節になると、組織変えと異動人事が始まる。

いまどき、慣習的ローテーション人事を取る会社もないと思うが、「誰を昇格し、誰を異動させるか」は頭を悩ます。当社には年2回の異動、昇格がある。

 

6月は定期的なものだが12月は臨時なものになる。定期的なものといっても部署の欠員に応じて1~2ヶ月のずれはある。臨時的なものとは中途採用者で試用期間が満了した社員、当社では昇格必須資格とされる「宅地建物取引士:従来の宅建主任者が4月より法改正で名称が変更」の取得がされていないため、其の合格発表を待って発令するものである。

 

「主任:入社3年以上」の資格要件はあるが、加えて職能資格毎に必須講座の終了が義務つけられているので、其の終了も条件となる。それらの条件を備えた社員が、初めて昇格昇進の審査対象になる。勿論営業社員であればそれに最低限の売り上げ、利益額という条件もクリアーしなくてはならない。

 

 

部内昇格や他部門からの異動には、勤務成績を踏まえても、「責任と立場」のフィルターは避けられない。当社のキャリアプラン自体、主任→係長→課長代理→課長→部長代理→部長となっているが、係長までは「使われる立場」課長代理以上は「使う立場」の意識が求められる。
キャリアアップを望むなら当然現在よりも上位の意識と行動が必要になる。「使う立場」の意識と行動とは、「使われる立場」での優秀さではない。

営業社員に置き換えてみれば、今月受注を何件取ったとか、今期は売り上げがいくらだったとか、ではない。プレィングマネージャーとしての優秀さでもない。自分の組織を何のために、何時までに、どのようにするかを明確に提示し、動かさなくてはいけない。

そこに企業理念をいかに具現化するか、という判断が入る。それも自分の言葉で、自分の組織に立脚した言葉で訴える必要がある。其の道程は安易ではない。自分の子供でも親の思うようには育てられないのに、まして育った環境も考え方も違う大人を扱うのだ。相当の気概と持続性が必要になる。

だから管理職になる必要条件は「明確な組織ビジョン」を持ち「熱い意思とネバー・ギブアップ」の強い継続意思だ。其の意思を共感させる場つくり、理念教育、組織責任を負う確固たる意思、喜びや悲しみをシェアーする場つくりがある。今流行の言葉で言えば「サーバント・リーダー」が求められるのだ。その気概がある社員が適任といえるが、なければ社長自らが作る必要がある。

「戦いの単位は課だ。課長が強くなければならない。課長が状況判断して、みんなと相談した上で、どういう戦略、戦術をとるかを決めて遂行し、部下の評価をきちんとする。それが、しっかり出来る会社が強いのだ」という経営学者の言葉もある。だから課長は(当社では係長も)企業の顔だ。この辺は、社員数20人未満の企業では違和感があるだろう。人的余裕もないだろう。

役職はついているが、実態は営業担当と変わらず、個人のノルマを抱え、尚且つ部下の数字にも責任を持つのでは、本来求められる職責が全うできない。当社も其の課程を経ているが、様々な不満や悩みがあった。現在当社がそれを解決して今に至ったということではないし、さらに新たな問題も出ている。

「くだくだ言う前に今日の売り上げがほしい!」「其の次期になったら改めて考える!」というのが一般的企業経営者や管理職の実態だろう。しかし洋の東西を問わず、「何ができたら〇〇をする!」のは自らの組織の問題を放棄するに近い。それは永遠にできないと宣言しているようなものだ。

何処でも最初は何もないところから第一歩を踏み出すしかない。「やるなら今でしょ!」が求められる。組織構築と組織の活性化は大手中小を問わず企業の永遠の課題であり、直近の課題でもある。其の中心となるのが管理職といわれる。

あのJALでさえ稲盛氏が社長に赴任するまでは、民間企業でありながら、お役所体質で縄張り意識が強かった。自部門がいくら利益を確保しているか誰もわからないという体たらくであったし、現場から乖離した本部からの目標数値に諾々と従っていた経緯がある。勿論地上勤務者と機長や客室乗務員との意思疎通もないし、自部門だけに配慮し他部門には全く関心がなかった点を指摘改善された。驚異的なV字回復を成し遂げた要因が「組織の再構築」「経営の見える化」「全員経営」であった。

JALのような名門企業でも稲盛氏に言わせれば「これでは街の八百屋も経営できない!」と言わしめた組織であったが、全てを「見える化」して個々人の行動目標と責任を明確にした。評価も明確にした。航空機は機種ごとに免許が必要で、機種が多いほどその機種の免許を持った機長が必要になる。

機種を統一すれば、其のメンテナンスも部品交換、機種の点検もミスが少なくなり費用も低減できる。又地上勤務者と客室乗務員との連携が緊密になれば、搭乗予約客数で機種の変更も適宜にでき燃料費や機内配置が効率的に運用できる。利益単位がチームごとに明確になれば運行責任者である機長が燃料消費の少ない飛行プランや運行を常に意識することができる。

稲盛氏の経営手法、全て真似ができるとはいえないが、今までありえなかった現機長が社長に就任するようなサプライス人事ができたのも、稲盛氏の「現場からの発想」「小さな組織単位ごとに数値管理をする」アメーバ経営という組織本来の形に戻ったからだといえる。その中核的役割を担ったのは課長という管理職だった。

課長以上の管理職は必要条件と十分条件を精査しなくてはならない。必要条件とは経験年齢に応じたスキルや資格がある。部下育成能力もこれに入る。より重要で一番難しいのは「自分を管理」する事だ。十分条件とは先に書いた共有意思、サーバント・リーダーシップがあるかどうかという事になる。

組織維持能力も必要になる。無能なものは勿論、有能なものでも組織の規律に反する者は「泣いて馬謖を斬る」という事ができるかなのだ。これを決断とも言う、意外とできない管理職も多い。

巨大企業GEの例が参考になる。GEは社員をトップ20%、ミドル70%、ボトム10%にランク分けをし、ボトム10%を解雇する厳しいものだ。トップのJ・ウエルチは「透明性の高い組織で明確な業績目標とその評価制度が整っていれば、ボトム10%の人は自分がどういうポジションにいるか弁えているはずだ。
大抵の人は言われる前に自分から辞めていく。自分が必要とされない組織に居たいという人はいない。ボトム10%の人(しかも社内全員がそれを知っている)に優しい会社は「そんなに頑張らなくて良い」とメッセージを発し、本当にやる気のある社員の意欲を腐らせている。

社員を明確にランク付けをし、その評価を本人に知らせるのがGEの流儀、「自分の立場がわかれば自分の運命を自分でコントロールすることができる」はずだ、と世界中のビジネスエリートが目指す企業らしい。企業ではなく職種で選び、何ができるかで採用する社会と雇用の流動化ができている社会ではそれも可能だろう。それが世界標準ならいずれわが国の雇用はガラパゴス化も逃れないだろう。甘い会社(管理職の下)には甘い社員が集まる、という事実も忘れては成らない。

甘い小さな会社は基盤もゆるい、自己の使命と責任を忘れた組織は簡単に崩壊する。
「厳しいけれど楽しい会社」を呼称する我社の社員はまず自己研鑽を怠らないことだ。辛いことがあるから楽しさが倍加する。ピアニストの練習は厳しい、一日の練習をサボると自分はごまかせるが、三日サボると聴衆はごまかせないという。我々の顧客も同じだ、だから「人在」ではなく「人財」が必要なのだ。それは自らの意思と決意がなければ「在が財」には決してならないことを自覚するべきだ。それも管理職次第である。

社長 三戸部啓之