社長の独り言

社長の独り言

[ 2020.6.1. ]

275号-2020.6.25

本年1月から中国武漢市で始まったコロナウィルスによる肺炎は、SARSと発生経路が似ており、新種コロナウィルスだが、広がりと罹患者数は数倍の規模になった。有効なワクチンが中々開発できないのは、人工的な細工を加えたもので自然界では生息しないタイプのウィルスと判断されたからで、しかも世界トップレベルのウィルス研究所である「中国科学院武漢病毒研究所」が近くにあるのも疑惑を裏打ちしている。特に危惧されるのは、米国の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」の乗組員が感染し空母が機能停止状態になったことが、「細菌兵器」としての有効性が立証された事だ。

2002年11月中国広東省で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は2003年7月終息宣言を迎えたが、今回は原因が中々特定できず防疫体制も後手に回り、高齢者を中心に被害が拡大した。これにより、学校の休校、イベントの中止、大相撲や全国高校野球大会の無観客試合や中止等が叫ばれ、昭和天皇崩御と同じような自粛ムードになった。より深刻なのは、入学式や卒業式までも中止せざるを得なくなったことだ。これらにより働く女性の就労が制限され、所得確保が新たに問題として浮上した。さらに4月7日の「緊急事態宣言」で休業要請が出された事で、より深刻な事態となった。経済への影響は図り知れず、自動車関連および製造業は言うに及ばず、来日客の減少で宿泊を含むサービス業全体が存亡の危機迄追いやられた。サプライチェーンが遮断されたことで、改めて中国は『世界の工場』の位置づけが明確になった。『中国がくしゃみをすれば、日本は肺炎を起こす』事が立証され、世界各国も間違いなく『風邪をひく』事も明確になった。

まだ終息の兆しは見えない為、世界経済は益々混沌とする。株価は世界中大幅な下落を示し、企業の業績も先が見えなくなっている。ソフトバンクグループも今期の連結損益が1兆4千億円で、投資先の企業は15社が破産すると明言しているほどだ。

人の移動を制限することは経済活動が停止縮小する事である。ここで俄に浮上してきたのは「働き方改革」だ。2016年に第3次安倍内閣が提唱した、多様で柔軟な働き方を選択できる社会の実現に向けた取り組みを言うが、2018年年7月に成立した「働き方改革一括法」として結実した。働く人の視点に立って労働制度を改革し、企業文化や風土も含めて変えようとするもので、非正規雇用の待遇改善、長時間労働の是正、女性や若者が活躍しやすい環境整備などを柱とする。ワークライフバランスの実現や労働生産性の改善を促し、賃金の上昇と需要の拡大を通じて、経済に成長と分配の好循環が形成されるという。

この騒ぎで、人が集まる場所への自粛、公共交通機関の利用の制限により「テレワーク」をはじめとする在宅勤務が脚光を浴びだした。目聡い企業は早速コワーキングスペースとして売り出した。シェアーオフィスの変形だが、利用者間の情報交換が可能になるようにコミュニティースペースを確保したものだ。毎日会社に行く必要はなく、このスペースを起点として業務ができることになった。

日本の労働者にとって、今迄、企業が用意した職場で働く事と、平日の午前9時から午後5時まで働くことは「仕事に行く」という言葉通り一般的形態だった。それは製造業に歴史がある。

初期資本主義社会では、工場という生産設備のある場所で賃金を得て労働力を提供する。又、店舗という場所にいき、そこで陳列した商品を対面販売する事が当たり前だったからだ。だが、時代は変わった。ポスト資本主義社会では人と生産設備(勤務場所)が一緒になる必要はなく、ネットや人工頭脳で遠隔地から指揮命令ができるようになった。又、労働時間と成果が正比例する中では労働時間をきちんと把握する必要があったが、成果主義が一般化すると労働時間の長短は重要な要素とはならない。

そこで勤務場所と労働時間を限定することは、あまり意味をなさないだけでなく、『柔軟ではない働き方』であり『硬直した労働形態』であるため、労働意欲がありながら労働に参加できない人を増やしているとの問題が出てきた。子育て中の人や親の介護をしている人が、退職を余儀なくされることは珍しくないからだ。

その解決策としてテレワークという働き方が注目されてきた。厚生労働省の「雇用型テレワークの現状と課題」によると、事業者と雇用契約を結んだ人が自宅などで働く形態を「雇用型テレワーク」といい、同省も「テレワークは時間と空間の制約にとらわれることなく働ける」と高く評価している。
また、厚生労働省の調査によると、企業側もテレワークを推進することで、生産性の向上や自己管理能力の向上、労働者の健康的な生活の確保などを期待していることが判明している。

国土交通省による「平成29年度テレワーカー人口実態調査」では「テレワーカー制度に基づく雇用型テレワーカーの割合は前年度調査比1.3ポイント増の9.0%」と公表されている。今後、更にテレワーカーで働く人は増えることが予測される。企業が労働者にテレワークを認めれば、柔軟な働き方ができるようになり、これまで労働に参加できなかった人も働けるようになる。テレワークの働き方が拡大すると、通勤や移動時間が大幅に削減されるので、自由な時間や家族との交流時間を増やすことができる。厚生労働省の調査によると、労働者はテレワークに対し、次のようなメリットを期待していることが分かった。

 〇 仕事の生産性の向上、効率化    〇 ストレスの減少                                       
 〇 時間管理に対する意識の高まり    
〇 自律性の向上  〇 顧客サービスの向上

また、テレワークの働き方が拡大すると、働き手が増えることになる。

副業を前提にした『ギグ・ワーカー』も可能だ。スマートフォンのアプリなどを通じて、自分の都合のいい時間に単発の仕事を請け負う事ができる。

企業側としても場所を提供する必要もなく労務管理不要になる。生産労働人口の減少に伴う『一億総活躍社会』の実現にも近づく。

しかし、テレワークは会社に来ない働き方なので、労働者の管理監督に懸念を示す企業はまだ多い。また、働く側にとっても、自分で仕事の分配や時間配分を考える必要性があり、テレワークの権利行使に踏み込めないということもある。社内で働くよりも長時間勤務になる恐れや始業と終業の区分の管理が難しいといわれる。さらに問題になるのは、コミュニケーション不足による孤立化だ。精神的障害や事故の労災認定の判断をどうするかという問題もある。

「副業を認める」という事も懸念材料になる。情報の漏洩と労働時間の把握だ。これは従来のメンバーシップ型雇用を前提とした終身雇用制度の崩壊に他ならない。従来の家族的労働企業体の概念は払拭される。企業色や会社の帰属性はなくなり会社の従業員という考えもなくなるだろう。

かっての『会社人間』は、『コンビニ人間』になる。仕事に人をつけるJOB型雇用が主流になり、「できる仕事」に応じた所得の2極化も促進される。大多数の国民が持っていた「総中流意識」は過去のものとなり、米国並みの所得格差が起きることは間違いがない。

2018年は生産年齢人口の問題が顕在化した『人手不足の年』と総括でき、2020年は総人口の減少による未曾有の『企業淘汰の始まりの年』になる。

より厳しくなるのは『2021年に延期となった東京オリンピック』の後と言われている。人口増加を前提にしてきた日本企業にとってビジネスモデルは勿論、採用や教育の方法、組織管理の方法、商品開発の方法等あらゆる経営手法を見直す必要に迫られている。明治維新の外圧となった黒船というコロナウィルス災禍が令和の時代のそれであると言える。

                                                                                             社長   三戸部 啓之

 

 

 

 

 

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