社長の独り言

社長の独り言

[ 2020.8.1. ]

277号-2020.8.25

今回のコロナウィルス感染拡大により、様々な場所や業態での新たな動きが加速している。
政府は早々と「新しい生活様式」を打ち出した。「働き方改革」もその一つだ。

 

敗戦後、軍国主義を生んだ封建体制の反省の上に民主化を進めたことと同じ背景がある。修身の教科書は封建的だと一夜にして教師から該当する部分を墨で塗られ、軍国主義を扇動していたマスコミは民主主義、自由主義の擁護者に旗幟を変え一気に世変わりさせた。今回も今まで封印されていた「成果型報酬」「高度プロフェッショナル制度」「メンバーシップ型雇用形態からJOB型雇用形態へ」の取り組みの再燃がある。

マスコミはこの時流に乗り遅れたら企業の存続はないと繰り返し報道する。企業経営者の不安を煽り変革の閾値にする。まさに歴史は繰り返していると言わざるを得ない。コロナウィルス感染にかかる不祥事も多発している。コロナ感染者に対する差別や、日用品の買い占めがそれだ。マスクの高額転売もあった。

東日本大震災時には、被災地の店で文句も言わずに整然と並んで順番を待つ人々の姿が国際的に賞賛されて久しいが、この同じ日本国民が今回様変わりしたのだ。自己中心的な行動が目立ったのだ。

勿論その背景にはエセ情報の氾濫があったが、何処でも暴動や異常な行動の裏にはありうることだ。知識人や学識経験者はこういう事態に歴史的教訓として民主主義の危機を憂いている。

情報の混乱は関東大震災時の「朝鮮人の大虐殺」につながったし、先の見えない閉塞状況では、強いリーダーシップを持つ為政者を期待する。ナチス台頭の例を持ち出すまでもなく、民主主義のルール下で専制者が台頭した歴史的事実が証明している。特に我が日本国民は精神的脆弱さがある。付和雷同型の動きになりやすいし、恥部を「すぐに忘れる」という特異な性質を持っているからだ。言葉を変え事の本質を糊塗し真実が曖昧になる。こういう性質は為政者やマスコミ操作でいかようにもなる。先の大戦も敗戦を終戦、撤退を転戦、全滅を玉砕と言い換えてきた。マスコミは戦時の大本営の代弁者だ。企業現場でも同じだ。

「緊急事態宣言」「巣ごもり消費」「3密防止」「ソーシャルディスタンス」「コロハラ」などの新用語が次々とマスコミから流れる。こういうインパクトのあるフレーズは心理的な拘束性が高い。まして周辺の人々が監視の目で見ている以上、これと異なる行動は中々取りづらい。「村八分効果」だ。その結果「移動を主体としたビジネス」は軒並み壊滅状態になった。好決算を迎えたのは移動を主体としない企業で、ネットや非接触型の間接的なビジネス企業だけになった。

様々な補助金も出ているが抜本的なものではなく、せいぜい半年の延命につながるだけのものだ。しかし企業をつぶすのは簡単だが一度つぶれた企業を作るのはより難しいとの観点から雇用を維持し、血税をつぎ込んでいる。中には10万円の一律支給とか、460億円をつぎ込んだアベノマスク等、首をかしげるものもある。ポストコロナでは又その分の徴税が国民に課せられるはずだ。その中で「座して死を待つよりも打って出よう」という企業もあるが、来店客数が伸びない以上効果がない。

効果的なワクチンの開発も見通しがつかない中で、第二次、第三次の感染があれば一挙に壊滅状態になる。80年前の日本の状況のようだ。アメリカをはじめとした主要国のABCD包囲網の中で石油や資源の枯渇が目の前にあり、勝算もないまま真珠湾攻撃を始め大東亜戦争になった。「窮鼠猫を噛む」の例えのように一時の感情で600万人の尊い命が失われた教訓が生かされていない。

じっと耐え忍ぶという戦略もあるが、家族経営ならいざ知らず他人を雇用している企業にはできない相談だ。先日不動産業界の集まりでも、「欲しがりません、勝つまでは」の「耐え忍び型」を取る社長が多かった。情報もなく孤立した中では致し方ないかもしれない。

我々不動産業者は神奈川県下に9000社あり、その99%は従業員5人以下の企業である。その殆どが株式会社であり、大小問わずトップは代表取締役である。実態の多くはまるで店主で、組織の代表者には程遠いレベルだ。だから身に迫る危機感はなく、じっと我慢すれば「嵐は通過する」感が強い。

こちらがあまり突っ込めば嫌味を返されるだけに終わる。勿論、自らが企業経営者として優れているとかという事ではなく、他人を雇っている以上、自分が食べなくても他人には禄を食ませる覚悟があるという違いだけだ。
 組織の長としての「労務管理」もそれに重なる。だから、中小企業の経営者は傍目より楽な商売ではない。自宅はもちろん資産の全部を失うリスクがあるという事になるから、世の動向にも敏感にならざるを得ない。タイトロープを渡るようなものだ。危機は企業の経営力を裸にするといわれる。目の前の危機に委縮せず、果断なリスクを取った企業こそ、次の成長機会をつかむ先頭ランナーになれる権利を得られるはずという訳だ。

経済が大きく変わる時に迅速に行動できるのがオーナー企業、失敗からの撤退も新事業へのチャレンジも早い。合議制の経営はそれが容易ではない。失敗を認めず、新事業も周囲の納得が必要で、決断に時間がかかる。厳しい時こそ逆張りでリスクを取って先んじるのがオーナー企業の強みだ。勿論大手企業のなかでも強いリーダーシップで攻めの姿勢を見せる企業もある。

日本取締役協会が作成した資料に、企業の設立から年数ごとの総資産利益率(ROA)を見た日米の比較がある。日本は設立10年前後が最も高く、米国をも上回る。しかしそこからは下がる一方、対照的に米国は10%の高水準を100年経ても保つ。「オーナー企業でなくなっても、プロ経営者が果敢にリスクを取るからだ。

日本企業の厚い財務を評価する声も一部にあるが、貯めた資金を次の成長に生かさなければ意味がないと報告されている。とはいえ、中小企業には経営資源がない。「人、モノ、情報」がない。プロ経営者を呼ぼうと思っても高額報酬を支払う余力もない。創業者には馬力があっても、後継者がそうだとは限らない。人材難は中小企業の宿命だ。

ユニクロを展開するファーストリテイリングは東京銀座に旗艦店を2020年6月出店した。日本企業に必要なのは健全なリスクテイクが連鎖する経営だ。ファーストリテイリングも洋品小売りの小郡商事からの二代目だが、世界的企業になった。

ソフトバンクの孫社長も数人から始め、台の上で社員に向かって「豆腐のように一丁(兆)、二丁(兆)の売り上げを目指す企業」を訓示した。

中小企業だった日本電産の永守社長も世界一のモーターメーカーを目指し数兆円の企業になった。

ホンダの創業者の本田宗一郎氏もミカン箱の上で世界一のオートバイメーカーになると訓示したような異才の経営者だから、経営資源の有無は理由にならないかもしれない。

言うまでもなく何せ社長本人の力量の差が大きい。組織は社長の器で決まると言えばそれで終わりだが、背伸びはつらい、長くは続かない。分相応に高望みはせず従業員と楽しくやればいい。身の回りの変化に注意していれば大きな失点はない。一時的な幸運はあるだろうが恒常的に維持する事は組織の力が必要だ。

中小企業には超一流の学生は来ない、だから大手企業よりも教育し育てることが最大の締めになるはずだ。元々スタートラインが違う。表面上の学歴や知識はないが、持っている素地を見抜く力が面談者に必要となる。

難しい判断になるが、的確な人選があれば成長は驚異的だ。当社でもある大学の男子学生は創立以来の実績を上げたし、ある女性社員は短大卒にもかかわらず法人営業でピカイチの評価を得ている。

勿論ハズレもある。元々ハンディのある学生だから一年の勤務状況から基本的な業務習得ができず、残念ながら転職を進めたケースもある。後日談だが、その社員はある宅配会社でエリアマネージャーをしていると聞いた。当社では実力を発揮できなかったが、他社で見事に開花した事になる。玉石混合であり成長の楽しみも大きい。手間はかかるが、中小企業経営者ならではの楽しみである。

                                                                               社長   三戸部 啓之

不動産活用レポート

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